失業等給付の中の、再就職の援助・促進を目的とする給付です。
早期再就職を図るためのものです。
再就職手当
基本手当の受給者が、所定給付日数を一定期間以上残して安定した職業に就職した場合に受給できる一時金です。
基本手当をもらっている間でも早く就職するとボーナスが貰えるような感じですね。
<受給要件>
以下をいずれも満たしている必要があります。
- ・基本手当の支給残日数が所定給付日数の1/3以上残っていること
- ・離職前の会社やその関連会社への再就職ではないこと
- ・ハローワークへ求職の申し込みをした時点では再就職が決まっていないこと
- ・再就職先で雇用保険に加入し、1年を超えて勤務することが確実であること
- ・待期期間7日間が経過した後の就職であること
- ・就職日前3年以内に再就職手当または常用就職支度手当を受給していないこと
- ・自己都合などの離職により給付制限がある人の場合、待期期間7日間後1か月以内に就職する場合は、ハローワークまたは職業紹介事業の紹介であること
<給付金額>
給付金額は支給残日数が所定給付日数に対してどの程度残っているかによって変わります。
支給残日数 | 給付金額 |
---|---|
所定給付日数の2/3以上 | 基本手当日額 × 支給残日数 × 70% |
所定給付日数の1/3以上2/3未満 | 基本手当日額 × 支給残日数 × 60% |
基本手当日額には上限額があります。
上限額は以下の通りです。(2020年度時点)
基本手当日額の上限額
60歳未満 | 6,165円 |
60歳以上65歳未満 | 4,990円 |
就業促進定着手当
再就職手当を受給した人のうち、再就職先で6カ月以上働いたものの、その6カ月間の再就職先の賃金が離職前の賃金よりも低い場合に受給できる一時金です。
<受給要件>
以下をいずれも満たしている必要があります。
- ・再就職手当を受給していること
- ・再就職してから同じ職場に6カ月以上勤務していて、かつ雇用保険に加入していること
- ・再就職後6カ月の間に支払われた賃金の1日分の額(賃金日額)が、離職前の賃金日額よりも低いこと
つまりは基本手当を受給して、再就職手当を受給して、かつ賃金が下がった場合に受給できるということですね。
<給付金額>
以下の計算式で算出します。
( 離職前の賃金日額※1 - 再就職後6ヶ月間の賃金の1日分の額※2 ) ×
再就職後6ヶ月間の賃金の支払い基礎となった日数※3
それぞれが非常にわかりにくいので、説明していきます。
※1
離職前の賃金日額は「雇用保険受給資格者証」の1面の14欄のところ(離職時賃金日額の欄)に書かれている金額になります。
但し、上限と下限があります。
上限額
離職時の年齢が30歳未満 | 13,630円 |
離職時の年齢が30歳以上45歳未満 | 15,140円 |
離職時の年齢が45歳以上60歳未満 | 16,670円 |
離職時の年齢が60歳以上65歳未満 | 15,890円 |
下限額
全年齢共通 | 2,500円 |
※2
再就職後6カ月間の賃金日額は、月給制か日給制(時給制)によって計算方法が異なります。
月給の場合
再就職後6ヶ月の賃金の合計額 ÷ 180
日給・時給の場合
以下の2つの式のうち金額の高い方になります。
再就職後6ヶ月の賃金の合計額 ÷ 180
再就職後6ヶ月の賃金の合計額 ÷ 賃金支払いの基礎となった日数 × 70%
賃金は交通費などの手当は含みますが、賞与は含みません。
離職後6カ月の賃金日額も離職前の賃金日額と同様の上限と下限があります。
※3
支払い基礎となった日数は、給与形態の「月給制(欠勤控除なし)」「月給制(欠勤控除あり)」「日給制・時給制」によって計算方法が異なります。
支払い基礎日数(支払いの基礎となった日数)とは
月給制(欠勤控除なし)の場合
欠勤した分が月給から控除(マイナスされること)されない月給制では、その月の暦日数(30日、31日など)が支払い基礎日数となります。
月給制(欠勤控除あり)の場合
欠勤した分が月給から控除される月給制では、就業規則によって定められた所定労働日数(働く契約の日数)から欠勤日数を引いた日数が支払い基礎日となります。
日給制・時給制の場合
日給制や時給制の場合は、出勤日数がそのまま支払い基礎日数になります。
<給付上限額>
就業促進定着手当には上限額があります。
上限額は以下の計算式で算出します。
上限額 = 基礎手当日額 × 支給残日数 × 30% or 40%
30%か40%かは、再就職手当の支給率によって決まります。
再就職手当の支給率が70% → 30%
再就職手当の支給率が60% → 40%
さらに、再就職手当と同様に、基本手当日額にも上限額があります。
上限額は以下の通りです。(2020年度時点)
基本手当日額の上限額
60歳未満 | 6,165円 |
60歳以上65歳未満 | 4,990円 |
就業手当
就業手当は再就職手当と同様、基本手当の受給者が所定給付日数を一定期間以上残して就職した場合に受給できる一時金です。
再就職手当が雇用期間1年を超える安定した職業に就職した場合に支給されるのに対し、就業手当は再就職手当の対象にならないようなアルバイトなどをした場合に支給されます。
<受給要件>
以下をいずれも満たしている必要があります。
- ・基本手当の支給残日数が所定給付日数の1/3以上、かつ45日以上残っていること
- ・離職前の会社やその関連会社への再就職ではないこと
- ・ハローワークへ求職の申し込みをした時点では再就職が決まっていないこと
- ・離職前の会社やその関連会社への再就職ではないこと
- ・再就職先で1年未満しか働ける見込みのない事
- ・待期期間7日間が経過した後の就職であること
- ・自己都合などの離職により給付制限がある人の場合、待期期間7日間後1か月以内に就職する場合は、ハローワークまたは職業紹介事業の紹介であること
主に再就職手当と違うのは
- 1. 支給残日数が1/3以上だけでなく、45日以上であることも必要
- 2. 1年未満しか働ける見込みのないこと
ということです。
それ以外はほぼ同じだと考えていいと思います。
<給付金額>
以下の計算式で算出します。
基礎手当日額 × 30% × 働いた日数
これにも上限が設定されています。
1日あたりに支給される額(基本手当日額 × 30%)の上限は以下の通りです。(2020年度時点)
- 60歳未満 1,849円
- 60歳以上65歳未満 1,497円
また、働いた日数にも上限があり、上限は基本手当の支給残日数となります。
再就職手当は60% or 70%であるのに対して就業手当は30%なので、就業手当は再就職手当に比べるとかなり金額は低くなります。
常用就職支度手当
基本手当の受給者している就職困難者が、安定した職業に就いた場合に受給できる一時金です。
再就職手当や就業手当と異なり、所定給付日数の残日数の縛りはなく、1日でも残っていれば受給する資格があります。
支給残日数が多くあれば、再就職手当を受給します。
つまり就職困難者は、再就職まで長期間かかる可能性が高いと考えられるため、残りの所定給付日数が少なくても(1/3未満でも)一時金を受給できるのです。
<就職困難者とは>
以下のいずれかに該当する人のことを言います。
- ・身体障碍者
- ・知的障碍者
- ・精神障碍者
- ・就職日に45歳以上で雇用対策法に基づく「再就職援助計画」などの対象となる人
- ・季節的に雇用されていた特例受給資格者で、指定された地域の事業主に通年雇用される人
- ・日雇受給者で、就職日に45歳以上である人
- ・刑余者(刑務所出所者)
- ・社会的事情によって就職が著しく阻害されている人
<受給要件>
以下をいずれも満たしている必要があります。
- ・基本手当の支給残日数が所定給付日数の1/3未満、1日以上であること
- ・離職前の会社やその関連会社への再就職ではないこと
- ・ハローワークへ求職の申し込みをした時点では再就職が決まっていないこと
- ・再就職先で雇用保険に加入し、1年を超えて勤務することが確実であること
- ・待期期間や給付制限期間が経過した後の就職であること
- ・就職日前3年以内に再就職手当または常用就職支度手当を受給していないこと
- ・ハローワークまたは許可・届け出のある職業紹介事業者の紹介で職業に就いたこと
支給残日数以外の要件は、再就職手当とほぼ同じです。
支給残日数が1/3未満→常用就職支度手当
支給残日数が1/3以上→再就職手当
となります。
<受給金額>
支給残日数 | 支給額 |
---|---|
所定給付日数の2/3以上 | 基本手当日額 × 支給残日数 × 70% |
90日以上 | 基本手当日額 × 40% × 90 |
45日以上90日未満 | 基本手当日額 × 40% × 支給残日数 |
45日未満 | 基本手当日額 × 40% × 45 |
再就職手当・就業促進定着手当と同様に、基本手当日額に上限額があります。
上限額は以下の通りです。(2020年度時点)
基本手当日額の上限額
60歳未満 | 6,165円 |
60歳以上65歳未満 | 4,990円 |
移転費
ハローワークや職業紹介事業者の紹介により就職したり、公共職業訓練などを受講するために、引っ越しする必要がある場合に受給できます。
ハローワーク所長が必要であると認めたときに支給されます。
<受給要件>
以下のいずれも満たしている必要があります。
- ・待期期間経過後に、就職や公共職業訓練などの受講を受けることになったこと
- ・1年以上の雇用が確実であること
- ・再就職先や訓練所から引っ越しにかかる費用が支給されていないか、その支給額が引っ越し代に足りないこと
- ・以下のいずれかに該当すること
- a.通勤時間が往復4時間以上
- b.交通機関の始(終)発の便が悪く、通勤に著しい障害がある場合
- c.転職先や訓練所の特殊性や要求などによって引っ越しを余儀なくされる場合
<受給金額>
受給できるものには交通費・移転料・着後手当の3つがあります。
~交通費~
旧居住地から転居先までの通常の経路・方法により計算した運賃です。
本人だけでなく、一緒に引っ越す家族分も受給できます。
鐡道賃、船賃、航空賃、車賃があります。
~移転料~
交通費計算の基礎となる鉄道などの距離及び親族の随伴に応じて、定められた金額が支給される、とあります。
わかりにくいですが、おおよその金額は以下の通りです。
- 距離が0~50km 9万円ほど
- 距離が50~100km 10万円ほど
- 距離が100~300km 13万円ほど
但し、この金額は家族と一緒の場合で、単身の場合は半額になります。
~着後手当~
新居に入居するまでの間のホテルなどの宿泊料や、挨拶にかかる費用などに対する手当とされています。
金額は以下の通りです。
- 距離が100kmまでは76,000円
- 距離が100km以上は95,000円
但し、この金額は家族と一緒の場合で、単身の場合は半額になります。
広域求職活動費
ハローワークの紹介により、遠くの事業所に面接などをしに行った場合に受給することができます。
<受給要件>
- ・面接に行く事業所が、自分の住んでいるハローワークの管轄区域外にある事業所で、常用求人(期間の定めのない求人、正社員など)であること
- ・手続きをしているハローワークから訪問する事業所の所在地を管轄するハローワークまでの距離が、交通費計算の基礎となる鉄道などの距離で、往復200km以上であること
- ・待期期間経過後に広域求職活動を開始したこと
- ・面接などにかかる交通費などを面接先の会社から支払われないこと
<受給金額>
受給できるものには交通費と宿泊費があります。
交通費は移転費の交通費の計算に準じます。
宿泊費は公式に出てはいませんが、ビジネスホテル1泊分の数千円程度のようです。