障害年金は国民年金や厚生年金に加入中に発生した病気やケガで障害の状態になった場合に受け取れる年金です。
障害の程度によって1級・2級・3級と分けられています。
非常にざっくり言うと以下の通りです。
障害1級
他人の介助なしでは自分の身の回りのことができないレベル
障害2級
必ずしも他人の介助が必要ではないが、日常生活は極めて困難で、労働による収入を得ることはできないレベル
障害3級
労働が極めて限定的にしかできないレベル
基本的には、障害年金には国民年金の「障害基礎年金」と、厚生年金の「障害厚生年金」があります。
厚生年金には3級より軽度の人への一時金として「障害手当金」という制度もあります。
~障害認定日~
障害年金は「障害認定日」以降に請求することができます。
障害認定日とは
- ① 請求する傷病の初診日から1年6カ月たった日
- ② 1年6カ月たつ日までの間に、障害・症状が固定した日
初診日というのは障害の原因となる傷病で、初めて医師の診察を受けた日のことです。
障害・症状の固定とは、その後改善する見込みがないと判断されるという事です。
この固定した日のことを、「治った日」という言い方をします。
この「治った」は治癒したという事ではないので、注意が必要です。
障害基礎年金
障害基礎年金は、国民年金に加入中に初診日のある傷病によって、1級・2級の障害の状態になった人が受け取ることができます。
また、国民年金の加入前の20歳前や、加入を終えた後の60歳以上65歳未満で日本に住んでいる時に初診日がある場合も、1級・2級であれば障害基礎年金を受け取ることができ案す。
ただし、老齢基礎年金をすでに受け取っている場合(繰り上げ受給も含む)や、65歳を過ぎてから初診日のある場合に対しては障害基礎年金は支給されません。
~満たしている必要のある保険料納付の条件~
初診日のある月の前々月までの年金加入期間のうち、2/3以上が納付期間か免除期間であることが必要です。
この期間には2号・3号被保険者期間も含めます。
ただし、20歳前に初診日がある場合は納付は関係なく受給できます。
また、遺族年金と同様に特例があります。 2026年3月31日までに初診日があり、初診日の段階で65歳未満の場合は、初診日のある月の前々月までの1年間保険料の未納がなければ障害基礎年金を受け取ることができます。
~障害基礎年金受給額~
2020年時点での障害基礎年金受給額は以下のようになります。
遺族基礎年金(年額)
‖
1級の場合:997,125円
2級の場合:787,700円
+
子の加算
子の加算
第1子・第2子 各224,900円
第3子以降 各 75,000円
年齢要件を満たす子どもがいる場合は、子どもの人数に応じて加算があります。
障害厚生年金
障害厚生年金は、厚生年金に加入中に初診日のある傷病によって、障害の状態になった人が受け取ることができます。
障害厚生年金は障害基礎年金と違い、1級・2級の人だけでなく、3級の人や3級より軽度の人への支給もあります。
~満たしている必要のある保険料納付の条件~
基本的に障害基礎年金と同様です。
初診日のある月の前々月までの年金加入期間のうち、2/3以上が納付期間か免除期間であることが必要です。
また、遺族年金や障害基礎年金と同様に特例があります。
2026年3月31日までに初診日があり、初診日の段階で65歳未満の場合は、初診日のある月の前々月までの1年間保険料の未納がなければ障害厚生年金を受け取ることができます。
~障害厚生年金受給額~
1級・2級の人は障害基礎年金と障害厚生年金を2階建てで受給することができます。
3級の人は障害厚生年金だけで、3級より軽度の人は障害手当金という一時金の受給になります。
また、1級・2級の人に生計を維持されている配偶者がいる場合は、配偶者が65歳になるまで加給年金が加算されます。
障害厚生年金の受給額は2級の人の受給額を基準に考えるとわかりやすいです。
2級の人の障害厚生年金受給額の計算は老齢厚生年金と同じです。
老齢厚生年金受給額
(年額)
‖
平均標準報酬月額※1 × (7.125 / 1000)
× 2003年3月までの加入月数
+
平均標準報酬額※2 × (5.481 / 1000)
× 2003年4月以降の加入月数
※1 平均標準報酬月額
加入期間の標準報酬月額を全て足して加入月数で割ったもの
賞与(ボーナス)は含まない
※2 平均標準報酬額
加入期間の標準報酬月額を全て足したものにさらに賞与(ボーナス)も足して加入月数で割ったもの
ただし加入月数が300カ月未満の場合は、300カ月に引き上げて計算されます。
1級の人はこれに障害基礎年金(997,125円+子の加算)が加わります。
2級の人はこれに障害基礎年金(781,700円+子の加算)が加わります。
3級の人は金額が年額586,300円に満たない場合でも、年額586,300円は保障される最低保証があります。
この金額はおおよそ2級の障害基礎年金額×3/4の金額です。
3級より軽度の人は毎月支給される年金ではなく、一括で一度だけ受け取ることのできる障害手当金となります。
金額が1,172,600円に満たない場合でも、1,172,600円は保障される最低保証があります。
この金額は3級の人の年額の2倍に相当します。